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  1週間だけ
1週間だけのかわいいペット



小学校の卒業式も終え、いよいよ中学生に・・・
なる前の春休み。

友達と団地の前で遊んでいると、
ガサガサと音がしました。
つつじの植え込みを覗くと、白っぽい物体が!!!


よく見ると、子犬でした。

白くてふわふわで、耳は茶色でたれている。
シッポもふわふわで先っぽがほんのり茶色っぽい。
めちゃくちゃかわいい。

友達と抱きかかえようとすると、その子犬が吠え出しました。
牙をむいて威嚇しているつもりだろうが、全然怖くない。
後ろから捕まえて抱き抱えると、とたんにおとなしくなりました。

かわいすぎる・・・

友達の家に連れて行ったが、団地の1階の彼女の母親に怒られました。
私の家も、同じ団地の5階。
すぐに捨てに行くにはあまりにかわいすぎる子犬。

私は勇気を出して母親の元へ。

ドアの外から声をかけました。
「お母さん。牛乳ない?」

「・・・・・なんで?」

「・・・・・子犬ひろった。」

「・・・・・。」
無言。

ほんの何秒かが怖かったのを今でも覚えています。

「捨ててきなさい。」

やっぱり。

子犬を見ると不安そう(に見えた)。

家の中からスリッパの音が。
私はドアを開けたままで、ドアの影に隠れました。

「見せてみなさい。」
私は、おそるおそる子犬を差し出しました。

「・・・・・。」
またもや無言。

すぐに、捨ててくるね、と言おうと思った瞬間、
「かわい〜〜〜♪すぐにミルクあげるからね!!!」

「へっ?」
母親は、小さめの器に牛乳を入れ、電子レンジへ。
熱すぎると火傷するから、とぬるめにしてあるという。

子犬は喜んでミルクを飲んでいました。
母親はずっと子犬の頭をなでていました。

が、はっとしたように、
「今日だけかわいそうだから、玄関においてていいよ。」

すごくうれしかったです。
私は寝るまで、子犬に話しかけていました。

次の日、学校へ行くのが憂鬱でした。
帰ってきたら子犬を捨てに行かなきゃいけないのかな?
それとも、もう捨てられている?

心配しながらドアを開けると、子犬がいました。
ほっとしてみると、朝とは様子が違う。

子犬は、細くて赤い首輪をしていました。
しかも、かわいいキラキラした飾りまでついていました。

母親いわく、かわいらしくて捨てられなかったという。
そのままペットショップにつれていき、お散歩用の首輪を買いに行ったとか。

母親と相談した結果、週末に親戚のおじさんに頼みに行こうということに。
その夜、母親がおじさんに電話をすると快く了承してくれました。

子犬をひろってから1週間、私は子犬を飼うことが出来ました。

単純ですが、名前は白いから『シロ』。
後で知ったのですが、おじさんの家に行ってから『コロ』に改名されたとか。

私は、おじさんの家にいる中学生の息子が苦手でした。
なので、シロに会いたい気持ちはありましたが、会いに行こうとはしませんでした。
お盆、お正月の挨拶のときだけ、シロに会えました。

シロは12年も長生きしました。
大人になって、シロが死んでしまったと連絡をもらいました。
ちょうど旦那様の運転する車に乗っているとき。

結婚してから会うことのなかったシロ。
体が大きくなっても、いつまでも耳のたれたシロ。
すごく悲しくて、涙が止まりませんでした。

今もペットは飼っていません。
団地は卒業したけれど、今はアパート暮らし。
いつか一戸建てに済むという夢も見なくなりました。

結婚した旦那様が、転勤のある人だから。
私の最後のペットは子犬のシロです。

犬を飼える人は、今でもうらやましいです。







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